2011年11月20日日曜日

映画のためにしたいこと



 『クスクス粒の秘密』大阪上映会、12日から開催して、14日、無事最終日を迎えることができました。マイミクやツイッターのフォロワーさんにも足を運んで下さった方がいて(おそらく10人ぐらい)、この場を借りて改めてお礼を申し上げたいです。なかには滋賀からいらっしゃった方も!!まことありがたいことです。 数字について話すと、3回上映し合計73人を動員。25人入れば満席になってそれ以上増えれば補助椅子が必要となるようなたいへん小さい劇場なので、盛況のうち終えられることができたのではないでしょうか。


 こちらの映画の上映会は、今回大阪上映会とのコラボを快く引き受けて下さった日仏学院が定期的に行っているシネクラブという企画で、19日、東京藝術大学(横浜・馬車道校舎)でも行われました。私も参加しましたが、想像していたよりもずっと(←失礼)上映設備が整った環境で心地よく鑑賞。関西にはこのシネクラブのような上映会は極めて少ないので羨ましいなと思いつつ、だからこそ今回の『クスクス粒の秘密』上映会のように、私が出来る範囲でやれることをやっていきたいと改めて感じました。


 これまでメールと電話でしかやり取りのなかった横浜日仏学院の方と今回初めて直接お会いし、いろいろとお話をさせて頂いて、次の上映会のプランも出てきました。お互い利益は出ませんが、日本未公開の”不遇な”映画のために、そしてそのような映画を心待ちにしている映画ファンのために、関西にて次も必ず上映会を開きたいと思います。乞うご期待。


 
 さて、このブログは『クスクス粒の秘密』の宣伝を兼ねて開設しましたが、コンセプトはあくまで”不遇な映画に明りを灯す”ですので、そのような映画たちを地道に紹介していけたらと思います。もちろん一般公開の映画についても語っていけたら・・・。よろしくお願いします。







2011年11月5日土曜日

特別上映会『クスクス粒の秘密』関連情報④~本作品に対するコメント集

『クスクス粒の秘密』をご覧になられた方々の感想の一部を紹介致します。
リンク先の記事は結末部分に触れている可能性がありますのでご注意ください。
(だからといって興を削がれるような映画ではないと思いますが…)



ゆっくりとしたリズムで始まったかと思うと、終盤に向けて緊張感が倍増していく、あの演出がすばらしい。」
引用元:ただ文句が言いたくて
http://eigaotoko.pokebras.jp/e86895.html

普段仲良くしていても、その場にいない家族や友人を平気で悪く言ったり
善意の下にある何気ない不満や悪意がチラリと覗く、
そういった描写は普段のわたし達の生活そのものなのかもしれない。

(中略)
そして散々陰口を言ったりうんざりしていたのにもかかわらず、皆で心からスリマーヌのため盛り上げる。(中略)ふたつの家族がひとつになっていく過程の映画に思えてくる。
引用元:Bubble Pop Electric
http://blog.livedoor.jp/bonbon229/archives/51103394.html


「スンゲー面白い!見てて、何度か感情がはち切れそうになった。スタイルがどうとか、映画的な話法がどうとか、そういう映画ではなく、パワーがある。物語の大筋を逸脱して、細部がドンドン増殖し始め、逸脱に逸脱を重ねていく様は、たとえばジャック・ロジェの映画なんかでも見ることができるものではあるが、この作品の場合、それがなんだか、めちゃくちゃパワーだ。」
引用元:Dravidian Drugstore
http://blog.ecri.biz/?p=175


前半、会話が延々続く部分、ハリウッド映画のテンポに慣れた人にはいささか退屈と思われるかも知れない。しかし後半に入るとどうなってしまうのかとぐいぐい視聴者を画面に惹き付ける、そんな不思議なパワーがある。スリマーヌの寡黙な演技と、リヌの献身的な思いの交錯が圧巻。

引用元:yohnishi's blog
http://yohnishi.at.webry.info/200907/article_4.html

善良な人の中にあるエゴや本音を描き出したという意味で、確かにこのアブデラティフ・ケシシュと(小津は)似ています。日本の小津を今のフランスでやろうとすればこうなると言ってもいいかもしれません。主人公は、『東京物語』の笠智衆で、リムは原節子、なんですね。」
引用元:海から始まる?!
http://umikarahajimaru.at.webry.info/200810/article_7.html


みんな精一杯虚勢を張っている。その中で光るのが、義理の娘。(中略)窮地が訪れた時に、身体を張って義理の父を救おうとする。 異国でしっかりと生きて行こうとしている姿、母親を一生懸命説得している姿が素敵だ。」
引用元:Nice  One!!
http://plaza.rakuten.co.jp/cucurose/diary/200810220000/


なによりも女性のパワーを感じさせるのが、映画のラスト。(中略)これだけの “女体から湧き出るエネルギー” を見せられたら、オトコなんて膝まずいて負けを認めるしかないハズ。 『クスクス粒の秘密』は、そんな世の中の女性の勇気と家族愛の大切さを ジワジワと感じさせてくれる。“世の中はオンナがあってこそのモノ” だってコトをウッカリ忘れてるオトコ連中には必須の教科書的映画!」
引用元:Vice  Magazine Japan
http://vice.typepad.com/vice_japan/2008/10/movie-week---do.html


ストーリーはどんなありふれたドラマ踏襲しておらず、一言で語れるようなものではないが、いちばん最後にうつしだされる監督からのメッセージが、とても印象的。「普通」でない家族を持つすべての人に、見てもらいたい映画だ。」
引用元:
http://d.hatena.ne.jp/imanakamaiko/20090123

かつてこんな風に誠実に生きた男がいた。それを記憶している人々がいて、この映画がある。(中略)結果ではない、成功でもない、ただひたすらに追い続ける彼の人生、それは尊いものだったと。賞もなく、仕事も干され、感謝されることも報われることもなく、それでも黙々と耐えて誰かに何かをしてやるために生きてきたただの一人の老人、それを制作者は描きたかったのではないか。
引用元:映画ノート@キムパブ
http://blog.livedoor.jp/kimpab/archives/65121370.html













『クスクス粒の秘密』上映会情報


大阪
プラネット・プラスワン
11月12日~14日
http://www.planetplusone.com/special/post_65.php




横浜
東京藝術大学(横浜・馬車道校舎)
横浜日仏学院シネクラブ
11月19日 18時~
http://institut.jp/ja/evenements/11089






2011年11月1日火曜日

特別上映会『クスクス粒の秘密』関連情報③~メール予約について

11月12日~14日の3日間、大阪・中崎町のプラネット・プラスワンで行われる『クスクス粒の秘密』特別上映会に関しまして、人数限定でメールでの予約を承ります。


”「クスクス粒の秘密」上映会予約”、というタイトルで、


1.名前
2.人数
3.電話番号
4.参加日時(12日19時~or13日13時~or14日19時~)




をご記入のうえ、プラネット・プラスワンのアドレス(cinema-planet1@y2.dion.ne.jp)までお送りください。後日送られてくる”予約完了のメール”を以って初めて予約できたことになりますので、必ずメールをご確認ください。

プラネット・プラスワンはとても小さな劇場で、席数が少なく、混雑状況によっては上映直前にご来館されても見られない可能性もあるかと思います。確実に見たいという方は(ほんとに、これが最初で最後の関西上映になるやもしれないので)この機会にぜひご予約ください。

よろしくお願いします。








『クスクス粒の秘密』上映会情報


大阪
プラネット・プラスワン
11月12日~14日
http://www.planetplusone.com/special/post_65.php




横浜
東京藝術大学(横浜・馬車道校舎)
横浜日仏学院シネクラブ
11月19日 18時~
http://institut.jp/ja/evenements/11089












ラベル:

特別上映会『クスクス粒の秘密』関連情報②~あらすじ・解説・監督について







上記の画像は10日ほど前に刷り上った『クスクス粒の秘密』上映会のチラシです。ひょっとしたら大阪市内のミニシアターで見かけた方もいらっしゃるかもしれません。知らない方のために、チラシ裏面に記載されている本作のあらすじ・解説・監督に関する情報をこの記事でご紹介します。




<あらすじ>
 
 港町セートで働く60代の港湾労働者・スリマーヌは、寄る年波に勝てず仕事も遅くなり、ついにはリストラの対象となる。彼には前妻スアドとのあいだに3人の子ども、そして孫がいるが、息子たちには厄介者扱いされ、義理の娘のリムだけが理解者だった。無力感が募るスリマーヌ。だが彼はかねてからの夢を実現すべく、古い船を買い取ってリフォームし、クスクス料理専門のレストランをオープンさせようとする。一家総出で開店パーティを行うが・・・。


<解説>


 『クスクス粒の秘密』はクスクス料理を活劇の原動力とした家族ドラマである――と言いたいところだが、そう簡単に要約してしまうことが憚られるほど、複雑な魅力を備えた映画だ。あらすじを読むと、一見、リストラされた60代男の人生再生記のように思える。しかし、一筋縄ではいかない。スリマーヌの恋人の存在で気まずくなった家族の関係が回復する感動の愛の物語かというと、そうでもない。少なくとも、この映画を特定のジャンルや紋切り型の表現に当てはめることはできないだろう。

 そのように形容できない点こそがこの映画の魅力であると言えるが、たとえ大きな事件が起きなくとも、小津安二郎の影響を色濃く受けるというケシッシュ監督が得意とする、ありふれた日常生活のワンシーンから人々の雑多な感情をすくい取るリアルな――演劇的な要素を排した――緊張感あふれる演出に、終わりが訪れる瞬間までスクリーンから目が離せなくなるに違いない。その握力の強さに、最後にはいつの間にか自分もレストランでクスクス料理を待つ客の一人になっているような感覚までおぼえるだろう。

 ジャンル分け不能の”扱いづらさ”のせいか、日本人には分かりにくい移民という問題が絡むせいか、はたまた出演者が無名なせいか、理由は分からないが(あるいは全てが理由かもしれない)、『クスクス粒の秘密』は残念ながら日本では劇場公開が決まらなかった(2011年10月現在)。だが2007年度のフランス映画界で最も称賛された傑作であり、フランス・アカデミー賞(セザール賞)においては作品賞・監督賞・脚本賞・新人女優賞(アフシア・エルジ)を受賞。アブデラティフ・ケシッシュの名前は日本ではほとんど耳にしないものの、セザール賞を既に2度受賞したことからも分かるように、その才能は端倪すべからざるものがある。少なくとも無視できない監督だ。実力を確かめるうえでも、今回の上映会は見逃せない。



<監督について>


アブデラティフ・ケシッシュ(Abdellatif Kechiche)


 1960年、チュニジア生まれ。6歳のときに家族でフランスへ渡る。舞台俳優として活動を始め、1984年に『Le Thé À La Menthe』(Abdelkrim Bahloul監督)で映画デビュー、主役を務める。初めてメガホンを取った『La Faute à  Voltaire』(2000)で映画監督として頭角を表すと、2作目となる『L'Esquive』(2003)、そして3作目の『クスクス粒の秘密』(2007)でそれぞれセザール賞作品賞・脚本賞・監督賞・新人女優賞を受賞。とりわけヨーロッパで高く評価されており、その実力はアルノー・デプレシャン(『クリスマス・ストーリー』『キングス&クイーン』監督)をして「現代フランスで最も重要な映画監督」と言わしめるほど。自身の境遇から移民を主人公にした作品が多く、しばしばパリ郊外や地方が舞台となるが、最新作の『Vénus noire』(2010)はこれまでのケシッシュ作品とは趣が異なり、19世紀初頭のロンドン・パリの見世物小屋が舞台、新境地を開拓した。現代フランス映画で次なる作品がいま最も待たれる監督の一人である。












『クスクス粒の秘密』上映会情報

大阪
プラネット・プラスワン
11月12日~14日
http://www.planetplusone.com/special/post_65.php


横浜
東京藝術大学(横浜・馬車道校舎)
横浜日仏学院シネクラブ
11月19日 18時~
http://institut.jp/ja/evenements/11089







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